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日本だからできる「本当のLCC」 [ただいま休暇中]

3月14日に帰国しました。
久々に乗った先進国のキャリア。
特にパリからのJALはさすがでした。
機内食そしてサービス。
「客であること」を実感できるサービス。これって大事。

そして、昨日15日、生まれ故郷の札幌に戻ってきました。
昨年7月ぶりの札幌です。

今回は、成田からLCC(ローコストキャリア)のJet Star Japanを利用しました。
JALの出資会社です。

JALが片道4万円台のところ、Jet Starは1万円台前半です。なんなんだこの差は??

LCCに対する私のイメージは、「安かろう悪かろう」。
「せまい、せこい、接客わるい、しかも遅れる」、そんな風に思っていました。
しかし、昨日、そんな先入観は根本から覆されました。

成田のチェックインカウンターでは、明らかにJALとは違うタイプの地上職員が、並ぶ客をてきぱきと捌きます。
客はカウンターの脇の秤に預け入れ荷物を載せ、チェックイン手続き後は自分で後方のX線スキャナーに持っていきます。

成田での搭乗はバス。
搭乗最終時刻を過ぎると、ゲート係員(先ほどまでチェックインカウンターにいた係員)はすぐにチェックインカウンターに戻ります。実際、遅れてきた乗客数名は、空港警備員に尋ねるも敢えなく再びチェックインカウンターに戻っていきます。

「遅れた客は待たない」、ということなのでしょう。
考えてみれば、LCCは駐機コストを1分1秒でも削るため「定刻運行」が絶対目標です。
利用しているとそのことが客にも「ひしひし」と伝わってきます。

しかし、この「伝わること」がとても重要です。
「伝わること」によって、客は「(安くしかも早いという)自らの利益」を感じ、「サービスを受けている」ことを実感できます。

定刻が守られるならばバス移動なんて問題ではありません。
セネガルなんて、エアフランスのビジネスクラスだってバスです。だってブリッジがないんですから・・。
しかも、セネガルの搭乗バスは、バスに乗る前も飛行機に着いてからも延々と待たされますし・・。


客の搭乗過程には機内に乗務員のアナウンス。

「お座席番号を確認のうえ、お間違いのないようにお座りください。荷物を上の棚に上げられる際は、後ろからのお客様が通れるように一歩座席側に入って・・」など、とにかく「定刻運行」を実現するための的確なメッセージが繰り返されます。

機材はというと、新しく、シートは革張りで、シートピッチは思ったよりずっと広いです。エアフランスのエコノミーより広い! シートは片側3列の計6列。これも777などに比べれば小さいですが、セネガル航空ほかアフリカの近中距離便なんてみんな3席×2の6席ですから同じです。
しかも、前の客が残したゴミが床やシートポケットに残っていることもなくきれい。

3台目のバスが着いて乗客が乗り終わると、タラップ下で搭乗コントロールをしていた女性が機内に・・。
あれっ? この人客室乗務員だったんだ!
その後間もなく、タラップが機体から離れていきま・・・、あれっ!?
みると、2人の男性がタラップを「押して」います。しかも最後は1人で・・。すごい。だから2人ともガタイがいいんだ・・。

飛行機はまさに「定刻どおり」に出発しました。すごい。
出発時には安全用具のデモンストレーション。当然のことながら乗務員がアナウンスし、デモる「伝統的手法」。でも、これでいい。十分。

飛び立ってしばらくすると機内アナウンスが・・。
「お客様の左側に、夕陽を受けたシルエットの富士山がご覧になれます・・」
(おお、きれい! 日本に帰ってきたんだな・・)

と思った次の瞬間飛行機は針路を北に・・。
おそらく機長の指示で「富士山アナウンス」をして、すぐに針路を変えたのでしょう。
(やるね・・)

さらに少したつと、飲み物等のサービスです。
これはすべて有料で、シートポケットにメニューが置いてあります。

p140315a.jpg

カラオケ店のメニューのようですが、驚いたのは、その安さ・・。
コーヒー200円、ハンバーガーとセットで500円です・・。コンビニみたい・・。

LCCは、運賃は安くてもその他のオプションを高くして稼いでいるのかと思っていましたが、そんなことありません。ジブチで乗ったLCCはコーヒーとか5ユーロくらいは取っていたのでそう思っていたのですが・・。

「飛行機代を安くあげて、その分旅先で贅沢を」というキャッチフレーズが、本当に「伝わり」ます。

目的地が近づくと再びアナウンスが・・。
「これから乗務員が機内を回りますので、ゴミはすべて乗務員にお渡しください。シートポケット等にもゴミを残さないように、定刻運航にご協力を・・」。
もう、この頃になると、自分が「協力しよう」という気になっているので不思議・・。

飛行中、乗務員は子供連れのお母さんがトイレに行っている間赤ん坊を抱っこしてあやしたり、足の不自由なお客さん親子に声を掛けたり、乗降時の段取りを何度も説明したり・・。言葉遣いは丁寧でサービスも細やか・・。

それと、一つ思ったのは機内アナウンス。
正直言って、パリからのJALの乗務員より、日本語も英語も上手でした。マニュアルの棒読みではなく、自分の言葉のように、はきはきと分かりやすい。
外国人客に声を掛けるときの英語も慣れてるしきれい。若かったけど、プロですな、あれは・・。
JALからの出向者かな・・。

千歳空港ではバスではなくブリッジで建物内へ。寒いので助かります。
降り際に、自分のシートエリアを担当していた乗務員さんに声をかけようと思ったらいません。
そうしたら、ブリッジを出たところに彼女はいて、お客に御礼を言いいながら見送っていました。

「ありがとうございました。またのご搭乗をお待ちしています。」、と言われたあと、私は
「こちらこそ。とてもいいサービスでしたよ。」、と声をかけました。


わずか1時間半のフライトでしたが、私はセネガルでの2年間のことをずっと振り返っていました。
私たちの協力分野でも、「コストを下げるために現地業者を活用する試み」をしています。ところが、これがなかなか思ったようにいきません。

「こちら(日本サイド)の満足する質を確保するためには大変な労力を要し、しかもコストは思ったほど安くあがらない」、これが実態です。

それはなぜか・・。
確かに、日本の業者に発注するより現地業者を使った方が安く上がる、これは事実。
しかし、サービスを提供する現地業者側に、「安く良いものを作る」という特別な意識やモチベーションはありません。
彼らは彼らの価値観でサービスを提供するだけ。そこに私たちの「価値のものさし」を当てても、私たちは決して満足できない、ということなのでしょう。

もう一つ忘れてはいけないことがあります。
それは、「民度の差」です。
決してアフリカの人々や、途上国の人々を貶しているのではありません。
日本人が優れているのです。

乗客が降りた後の機内の汚さ・・。
アフリカ路線でいつも感じたことです。
子供達が機内を走り回っても注意しない親。自分の子供が他の客の機内食をつまみ食いしても叱るどころかニコニコして見ている親。それを許す客。
私の残した機内食をトレイごとバッグにしまおうとする隣の客。

こんなことにもすっかり慣れてしまいましたが、それに比べて光る日本人の行儀の良さ、物静かなところ・・。
どうやって、こんなにも、みんなが躾けられ、教育をされているのでしょう。
学校だけではなく、親から子へ、そしてその子へ・・。

「嘆かわしい」ことも最近の日本では多々あります。
「日本人よりもアフリカの人の方が優しい」と思うこともあります。

でも、それでも日本人は素晴らしい。
わずか1時間半のフライトで「日本に帰ってきたんだな」と実感しました。

「安いことによって失うものはない」、これがLCCの正しいあり方ではないでしょうか。
定刻運航でコストを下げ、タラップを手押ししてコストを下げ、けれども「おもてなし」の心はフラッグシップと変わらない。まさに、日本だからこそできる「本当のLCC」なのだと思いました。



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