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世間のオヤジ [セネガル]

今の会社に入って9年目となりました。

技術者としての第一線を離れて8年も経ったということですね。

今でも技術者として仕事をしていますし、新たに身につけたものも多いのですが、例えれば大学病院の医局長が開業して町医者になったようなものでしょうか・・。

私の場合、不本意ながら前の会社を離れることになりましたが、結果的には円満退社しましたし、その会社にはいまだに技術的な相談にのってもらって、かつての同僚から大いに助けていただいています。例えるなら、開業医が難しい症例の患者が来たときに出身の大学病院にバックアップしてもらうかのように・・。

「自分のバックには、呼べばすぐに応える、ん百人の技術者が付いている」と真剣に思っていますし、これはとてもありがたいことです。

一方、私が退職した後の会社は厳しい経営環境に晒されてきました。

景気の後退とデフレ。頼みの綱の公共事業は激減し、この8年間で売り上げは半減しています。組織改編、給与カット、つらい日々が続いたことでしょう。中学、高校と一緒だったかつての同僚が心の病に倒れ、帰らぬ人となったという話も聞きました。

幸い私の尊敬、敬愛するかつての上司は関連会社の社長になり、同期入社の友人はみな偉くなっています。私たちが入社した頃は、いわば就職氷河期で、同期入社の技術者はひとケタでした。「選び抜かれた優秀な人材」が揃っていたということでしょう。

最近届いたかつての同僚からのメールには、彼の前任者が出張先の交通事故で大けがをしたことや、会社の人事のことなどいろいろ書かれていました。また、かつての部下からのメールには、「いまの会社は嫌いですね」、と書いてありました。

昨日、その古巣のホームページを見ました。「採用情報」にある「先輩からのメッセージ」には、各部の若手技術者10数名からのメッセージが書かれていました。

誰一人として私が知っている人はいませんでした。

みな私が退職してから入社した若者ばかりです。とはいえ、技術者として8年も経験を積めばもう中堅です。会社を支えている、いわば会社の顔でもあります。各人のメッセージは(ウェブサイト向けとはいえ)希望や意欲に満ち溢れており、ひとしきり読んだ後、「いい会社にいたもんだなぁ・・」と思いました。

複雑な心境でした。

「懐かしいあの人に人混みの中であった・・」、まるで松任谷由実の「グッド・ラック・アンド・グッバイ」のような感じ・・。

ちょっぴり苦々しくて、でも嬉しくなるような・・。辛かったあの頃が今は良き思い出、良い友達になっている・・、それが嬉しいようで少し哀しいとか・・。

そういうとき、そばを打ったり、リコーダーを吹いたり、犬を連れて散歩をしたり、ひとりダラダラと飲んでしまったり・・。

それがいわゆる「世間のオヤジ」です。


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ackylacky

ある社長さんが書いてましたが、辞める時ほど人間関係が大事だそうです。円満退社してこそ次が開けるのだそうです。
by ackylacky (2013-04-11 20:35) 

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