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さかなクンふれあいの会 [セネガル]

4月某日、ダカール市内でさかなクンとの「ふれあいの会」 が開かれました。さかなクンはその日の夜行便でセネガルを発たれたのですが、さかなクンご 自身からの「子供達とお話しする機会を・・」との申し出を受けて、当地 にいる日本人家族ほかに呼びかけて実現した会です。

午後4時、さかなクンは、セネガル政府漁業省に派遣されている 日本人専門家とと もに白衣姿で登場しました。頭にはもちろんハコフグの帽子です。

2人の白衣には、まるで「入れ墨の彫り物」と見まごうばかりの、フルカラーの魚の絵が描かれていました。袖には5匹くらいの太刀魚、背中にはセネガルの国民魚のチョフ(ハタ) やタコなどの絵がたくさん描かれていました。

1時間ほどの「ふれあいの会」では、ホワイトボードに貼った模造紙にさかなクンがセネガルで「出会った」魚の絵を描き、その魚についていろいろと説明するのですが、絵を描いている途中にその魚の名前を当てた人には、さかなクンがサインをしてその絵を進呈することになっていました。そして、さかなクンが絵を描いている間、漁業省専門家がセネガルで行わ れている水産プロジェクトの紹介をしたり、セネガルの魚の生態とかを説明しました。その専門家もさかなクンに促されて絵にサインをしていました。

さかなクンが描いた絵は、太刀魚、フグ、カツオ、チョフ、タコの5枚だったと思います。 どれも、色をいっぱい使ってとても上手な絵でした。子供達も大人達も大喜びでした。ちなみに、1枚目の太刀魚の名前を言い当てて、サイン入りの絵をもらったのは、「空気の読めない」おじさんでした。会の最後には、家族ごとにさかなクンと記念写真を撮る時間も設けられ、皆、大満足でした。

さて、
この会のなかで、心温まる出来事がありました。

それは、さかなクンが最後のタコの絵を描いていたときでした。何人かの子が手を挙げたのですが、最初に手を挙げた小学生の女の子(Aちゃん)は、その前に別の魚の名前を間違っ て答えてしまい、残念賞としてさかなクン自筆の名刺をもらっていました。そこで、司会の人が2番目に手を挙げた中学生くらいの女の子(B さん)に答えを求め、彼女が「タコ」と 答えて正解となりました。さかなクンはその中学生の子の名前を絵に描き、サインをしまし た。

その後、各家族とさかなクンで記念写真を撮るとき、「タコ」の絵の時に最初に手を挙げた A ちゃんが、シクシク泣いてお母さんに慰められていることにさかなクンが気がつきました。

「どうしたの?」、とさかなクンは尋ねました。すると、「タコ」と当てて絵に名前を書いて

もらった中学生の B さんがさかなクンに,

「さかなクン、ごめんなさい。私、アレルギーでタコが食べられないの。だから A ちゃんにこの タコの絵あげて。A ちゃんの名前を書いてあげて。」、と頼んだのです。

さかなクンは、「そっか〜、B さんありがとう」、と言って、絵に書いた中学生 B さんの名 前の下あたりに、別の小さなタコの絵を描きました。そして、そのタコの口から墨を吹き出させ、B さんの名前を消し、その脇に、「A ちゃんへ」と書いたのです。

中学生の B さんは本当にタコを食べられなかったのでしょうか?  みな、そう感じたと思います。でも、誰もそのことを確かめる人はいませんでした。

最後に、子供達の代表から、さかなクンにお土産が渡されました。一つはセネガルの民族衣 装、もう一つは、セネガルの地元漁師が使う「ピローグ船」と呼ばれる漁船の模型でした。 70cm から 80cm 位はある結構大きな模型です。

実はこの模型は、以前セネガルに来た 我が社の出張者が漁業省からお土産にいただいたもので、「荷物になるから」といって、事務所に置いていったものでした。今回、さかなクンが漁村を訪れた際に、ピローグ船をとても気に入ったらしく、その「置いてきぼりの模型」 に白羽の矢が立ったのでした。

その模型がさかなクンに手渡されたとき、私は「なんで今晩帰るさかなクンに、いまこのタイミングでこんなデカイもの渡す?  さかなクン、置いていけないだろう・・」、と思いま した。 しかし、さかなクンは本当にその模型が気に入ったらしく、「持ち帰って部屋に飾りたい」 と言ったので、事務所のスタッフがしっかり梱包してさかなクンに渡しました。さかなクン はあのデカイ模型を、機内持ち込み手荷物として持ち帰ったのです。


さかなクンは本当に、テレビで見たままの、いや、それ以上の人でした。常に他人や子供達 のことを考え、時間があれば自筆の名刺を描き、色紙に絵を描き、本当にスゴイ人でした。 さかなクンに会った人は、大人も子供も誰もがみんな、笑顔で幸せになれました。日本語のわからないセネガル人でさえもみな、ニコニコして喜んでいましたから、人間のコミュニケ ーションは言葉だけではないということが、改めてよくわかりました・・。 

さかなクンが来る前は、所内会議で、「さかなクンはなんて呼べばいい? 『さかなクンさん』かな?」、とか・・、

「台本には、漁業大臣表敬時には、『さかなクンでぎょざいます』って挨拶することになってるけど、フランス語にどう訳す?」、とか、いろいろな質問がありました。

ちなみに、事務所のセネガル人スタッフは、「Monsieur Poisson」(Mr. Fish)と呼んでいました。

いまでも事務所にはさかなクンからいただいたサイン色紙と、さかな図鑑が置いてあります。

疲れたときに、ちらっと見て、ちょっとホッとしています。


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